つい先日、ネットのニュースを見ていたら『YOSHIKIが遺書を書いていた』という記事が出ていました。
 読んでみると、持病の頚椎椎間板ヘルニアの手術を先月の28日に行った『X JAPAN』のYOSHIKIさんが、手術の前に家族やメンバー、そして長年のファンにも遺産の1/4を分け与える旨の“遺書“を書いていたというのです。
 内容的には、ファンへの遺産の分与方法等の具体的な記述も無く、まだまだ不完全な、未完成品という程度のものだったそうですが、そこまでファンを大事にする(何を以って大事にすると言うのかは、人それぞれでしょうけど・・・)人が居るということにちょっとビックリ。キリスト教系の国での話なら分からないでもないですけど、日本人でねぇー、そこまでするとは。

 でも、この記事、ちょっとばかり違和感がありませんか?

 そう、“遺書”という単語です。 私たちは普通、こういう場合は、その人の最終の決定意思の表明としての“遺言書”という言葉を使います。 遺書ではまるで、これから“自殺”するような印象を持ってしまうから、きっちりと使い分けるようにしているのです。(“遺言書”の単語を使っているところもありましたけど)

 実際、辞書などを紐解いてみると、大まかには遺書も遺言書も大体同じような意味で使われてはいるのですけれど、厳密には『遺書は自殺する人、または死ぬことが確実な人が残す文章である。財産分与などの法律的な問題を記す遺言書とは異なる』(Fe ペディアより)となっており、両者が全く別物であることは明らかです。

 まぁ、このページは人の揚げ足を取るのが目的ではないので“間違い”の指摘はこのくらいにするとして、“遺言書”の話です。
 
 遺言書には、その中でしかできないことと、それ以外でもできることの2種類の内容に関して、書き残すことができますが、注意しなければならないのが、“遺言書でしかできないこと”です。
 念のために、書いておきますと①遺贈 ②相続分の指定・指定の委託 ③遺産分割の禁止 ④遺産分割方法の指定・指定の委託 ⑤相続人相互の担保責任の指定 ⑥遺言執行者の指定・指定の委託 ⑦遺贈の減殺方法の指定 ⑧未成年後見人の指定 ⑨未成年後見監督人の指定 がそれです。


 で、例えば③の遺産分割の禁止。自分の土地で小さな工場を経営している被相続人の二人の子が遺産分割として土地と工場をそれぞれ相続し、土地を相続した人がその土地を売ってしまったとしたら、場合によっては工場を閉鎖しなければならない事態にもなりかねないので、遺言書で分割を禁止する旨の記載をする(法律上は相続人全員の同意によって、この条項は無効にできるんですけど) のですが、これは遺言書に書いて初めて効力を持つもので、生前に子供たちを集めてその旨を言い含め本人たちも了承していたとしても、それは(信義という意味は別にして)法律上は意味の無い単なる口約束になってしまうからです。 
 また、⑧、⑨に関しては、未成年者保護の観点から遺言書に記述が無くとも未成年者自身が困るようなことにはならないよう、法律はちゃんと別に規定を設けていますから良いのですが、①〜⑦に関してはきちんと書いておかなければ後々になって“そうあっては欲しくなかった”事態になる可能性は少なからずあるので、思い当たる人は遺言書作成に際しては、忘れずに、これらに関する条項を盛り込むようにしましょう。 

 もし、自信が無かったら、迷わず専門家に相談することをお勧めします。


 ところで、冒頭のYOSHIKIさんの“遺書”の『ファンに・・・』という部分、もしも自分がそういう条項のある遺言書作成に関して相談を受けたとしたら、どんな風に回答するのだろうか・・・?

 やっぱり、素直に(包括)遺贈に関する規定に則って、『自分の遺産をファンに遺贈する』旨の条項を入れておけば良いと答えるのかな? でも、それだと“金”を配るみたいになっちゃいそうだし・・・ それとも遺産の内のファンに還元する部分に関して、遺言の執行者を指定した上でファンのために何らかの財団の様な団体を作る&運営してもらう形にするのが良いのかな? 或いは・・・・

 まだまだ・・・だな。もっと思考を柔軟にして、勉強にいそしまねば・・・!

 自分も参加している若手(実年齢はこっちに置いておいて)行政書士が集まって作った『お悩み相談グループ』からスピン・オフ(ちょっと格好良すぎるか?)した形で来月5日、今度は同じような新人の行政書士を集めて、メンバーの中野先生が自身の専門としている離婚業務及びインターネットを使った営業の極意(?)についての研修会を開くことになりました。
 ベテランの先生方の中には、「ホームページじゃ客は来ない」とか、「ホームページから来る客は筋が悪い(報酬を支払わずに逃げる)」とか、あまり好意的ではない方も居ますが、実際問題、これから開業してゆこうという人にとってはホームページはある意味欠かすことの出来ない営業ツールの一つですから、まぁ、興味のある人は聞いてみるのも良いのではないか・・・などと思っていたら、お手伝いすることになってしまいました(あ、決して嫌なわけではないので…念のため)。

 とまあ、宣伝はここまでにして、あのスターのあの話題です。すんなり決着が付くとは思っていませんでしたけど、やっぱり出てきましたね。 …のりピーじゃないです。もっと大物。マイケル・ジャクソンのネタです。

 時事通信のネット配信記事によれば、先日亡くなったマイケル・ジャクソンさんの長女・パリスさんは実は、「1996年に自分がマイケルさんに頼まれて、ロンドンのクリニックで、無償で提供した精子から生まれた自分の(生物学上の)子だ」と、映画『オリバー!』や『小さな恋のメロディ』で子役として人気を博した俳優のマーク・レスターさんが名乗り出たというのです。
 マークさんには現在、4人の子供が居るそうですがその中の一人とパリスさんが「非常に似ている」そうで、「父親であることを証明するために検査を受けても良い」とまで言っているとか。
 つい先日、マイケルさんの3人の子供(実はマーク・レスターさんはその名付け親)たちの養育権及び遺産分与に関して、本人の遺言により、母親のキャサリンさんが養育権を持ち、毎月一定額の遺産を受け取る。マイケルさんの元妻で長男・プリンス君、長女・パリスさんの実母デボラ・ロウさんには面接権を与える旨の裁判所の判決が出たことで、マイケル家の相続問題は思っていたよりもスンナリ解決か…とも思われましたが、やっぱり、そうそう一筋縄では終わらなかったということですね。


 さて、ここからが本題。
 マイケルさんの3人の子供に対する養育権及び財産分与がスンナリと認められたことで、遺言書がいかに効力のあるものなのかは、改めて分かったことと思います(日米の違いはあるにしても)が、では、その遺言書に“書かれていなかった”(遺言書の原文を見た訳ではないので、本当のところは分かりませんけど…)ような問題が起こった時には一体どうすれば良いのでしょうか? 今回のマイケル一家のような話は案外、他人事ではないのかもしれません。


 例えば、犬神家の一族・・・冗談です(あの一族はドロドロとし過ぎているので)。

 例えば、若いころに非常〜にモテたお父さん。当時は毎晩毎晩、違った女性とお付き合いをしていましたが、それでも特に問題など起きずに(刺されることも無く)日々を楽しんでいました。30歳を過ぎてようやく結婚、少しは落ち着きましたが、3人の子を残して亡くなった後、「私、彼の子供なんです」とか「母が亡くなる前に、お前のお爺ちゃんは彼だと言われた」或いは「兄さんはお父さんの本当の子じゃないんだから、相続した遺産は本当の子である自分に返してくれ」などなど、若かりし日々のツケが子供の世代に回ってきて、遂には一族全体を巻き込んだ“大争続合戦”に・・・なんて、これらは相当極端な例ですが、もうちょっと柔らかく考えてみれば、あながち無いとは言い切れない話ではありませんか?


 もし、そんな事態になったとしても、しっかりとした遺言書さえあればその争いは最小限で、或いは争い自体起きずに済むかもしれません。 というのも、一般に遺言書というと“今ある財産”を引き継ぐ事に関する具体的な内容(規定=法定相続分や遺留分に関する規定)のみが効力を持つ…というようなイメージが強いかと思いますが、民法は“遺言書でしか出来ないこと”として財産関係だけでも、①遺贈②相続分の指定・指定の委託③遺産分割の禁止④遺産分割方法の指定・指定の委託⑤相続人相互の担保責任の指定⑥遺言執行者の指定・指定の委託⑦遺贈の減殺方法の指定と、単に今ある財産を分けるだけではなく、財産の分割に至るまでの課程に関する規定を色々と設けてくれているからです。

 これら遺言に関する規定をしっかりと理解して正しく(過不足の無い)遺言書が作られていれば、上記のような事態になったとしても、当人同士で泥沼の争いという事態だけは避けられるはずです。  また、場合によっては“予備的遺言”に関する条項を加えたり、“(夫婦)相互遺言”という形でそれぞれが互いに遺言書を書き残しておけば、不測の事態に対する準備は更に万全なものとなるでしょう。

 まぁ、実際に遺言書を作るとなれば財産目録と同時に相続関係図(家系図)を作ることになりますから、本当は相続人となる人が他にも居るのではないかとか、本当にその人に遺言書通りの相続権があるのか等はすぐに分かりますし、自分自身、過去に不安のあるような人ならば、予めそういう事態を想定した遺言書を作っておくこともできるでしょうから、そうそう心配はしなくても良いのでしょうけど。
 

 と、いうことで・・・特に、若い頃“えらくもてた”覚えのあるお父さん方(お母さん方も?)、もしかしたら青春時代に見たことがあるであろう映画の中で、可愛らしかったあの子役が巻き起こした今回の騒動(?)をいいきっかけとして、自分の“過去”を振り返り、遺言書の一通もしたためておくのもまた、良いかもしれません・・・?

   昨日、久米川駅から徒歩5分ほどのところにある貸し会議室で『お悩み相談グループ』の面々(メンバー紹介は追々してゆきます)と、行政書士無料相談会を行いました。相談に来てくださった方は3組。相続に関する相談と自筆証書遺言書作成に関する相談、それから後見に関する相談でした。
 相続に関する相談では成島先生がメインで自分はその補助。
 自筆証書遺言書作成に関する相談では自分がメインで成島先生が補助についてくれました。
 そして、後見に関する相談では中野先生が、この日新たにメンバーに加わった(その後の打ち上げ=飲み会の様子を見て「こんな人たちと一緒にはやって行けない」と思った? かどうかは分かりませんが…少々サービスが過ぎて、余計なことまで喋り過ぎたと反省中…)勝又先生が補助という形で約3時間にわたって行われました。

 これまで何度かグループ主催の無料相談会に参加してきましたが、毎回思うことは、相談を受けるということの難しさと重さです。
 自分たちも試験に受かり、その後は自分たちの興味のある(専門にしたいと思っている)業務に関して、更に専門の知識を蓄える為に専門書を読み漁ったり各種の研修に出てみたりと、それぞれ勉強に余念がありませんが、根本的にそういうことと本当に困っている人の力になる(相談を受ける)ということとは全く別物だということを、その度に実感させられるからです。
 実際、相談に来てくださる方は“困っている”からこそ、相談に来る訳で、その原因や背景はまさに千差万別。パターンなど当然なく、もちろん“予習”などできるはずもない中で、言葉通り“ぶっつけ本番”の自分たちの答えが相談者のその後の判断材料となることを考えると、その一言一言の責任の重さは計り知れないものに思えるからです。
 そんな訳で、相談に来てくれた方が帰った後は「あの回答が本当にベストの回答だったのかな」とか、「困っていることの解決に本当に協力できたのかな」、「こんなケースもあるんだ、もっと勉強せねば」、「でも、帰るときは笑顔で帰ってくれた…よな?」などと反省ばかりしていますが、本当にその人の立場に立った親切な対応をしよう、そして、少なくともその時点で考え得る限りのベストの回答ができるよう頭はフル回転 を心掛けて頑張っていますので、どんな些細なことでも気軽に相談に来ていただければと思います。

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