Q : 父親が亡くなりました。その後、兄から現金で100万円とその100万円と引き換えに相続を放棄する旨の記入のある遺産分割協議書が送られてきました。一緒に添えられていた手紙には遺産分割協議書にサインをして実印を捺した上で、印鑑証明と一緒に送り返してほしいとあります。そんなに簡単にサインをしてしまっても良いものなのでしょうか?


 A : 先ず初めに、相続の放棄という場合、法律上はあくまでも家庭裁判所に出向いて申述する(民法938条)という方法によってしか出来ないということです。 しかし、現実には兄弟姉妹などの相続人間で取り交わす遺産分割協議書に「遺産は放棄する」旨の記述があれば、(当事者間では)それで相続の放棄がなされたとして扱ってしまう(思い込んでいる?)場合がほとんどのようです。

 つまり、実社会では”相続の放棄”という言葉は、
     ①本来の法律上の行為である”相続の放棄”(=初めから相続人にならなかった)
     ②相続人間での遺産分割協議(書)による現実の”相続の放棄”(=遺産を貰わない)
 という、2つの意味で使われているということです。

 実際にその場になってみて、例えば田舎の土地を貰えたとしても、滅多に行かない田舎の土地を貰ってもしょうがないので、実家を継いだ「兄に全部あげます(自分は相続を放棄しますから、兄さんが全部相続してください)」と言うか言わないかは本人の自由ですから、その時々の判断で決めればよいことです。法律に則って相続の放棄をするのも遺産分割協議による相続の放棄をするのも、当事者間では変わらないのですから。(相続税のかかるケースでも税金は貰った額に対してかかるので、貰った分以上に相続税の支払い義務が生じるということはありません)

 しかし、ここで一つ注意しなければならないのが、②の相続人間で遺産分割協議(書)によってなされた”相続の放棄”は、法律上は何の意味も持たないということです。 ですから、仮に被相続人(親など)に多額の借金があったという場合には、いくら遺産分割協議書で「相続を放棄する」旨の記載があり、協議書自体が100%完璧に作られていたとしても法律上はあくまでも相続人であって、債権者は相続人各自の法定相続分に応じて、その借金の取り立てができるということです。
 (遺産分割協議上、自分は相続を放棄したのだからもう関係ないと思っていたら、ある日突然、借金の催促をされるなんてあまり気持ちのよい話ではないですよね。

 相続が開始したら、先ずは遺産の内容をしっかりと把握しておくことはその後の無用なトラブルを避ける意味でも、重要なことです。仮に遺産を貰わない場合であっても、場合によってはきちんと家庭裁判所で相続放棄の申述をしておきましょう。

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