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法律は、自筆証書遺言書の作成に関して、先ず最初にその全文を自書しなければならない旨を規定していますが、では、この『自書』とは単純に遺言書の執筆者が”一人で書く”ということに限定されるものなのでしょうか?
このケースは、病気のために手が震えるのに加え、白内障の為に視力も極端に弱かった夫(=A)のために、夫は次に書く文字を口に出し、その妻(=B)が夫の手を握りペンを置く位置を正す等の方法で子(=乙等)に遺産の大半を与える内容の遺言書を書き上げたところ、Aの死後、子供の一人である甲(遺産が少なかった?)が、その遺言書は前記の理由からBが偽造したものだとして訴えを起こしたというものです。
当初の裁判では、裁判所は「Aは当時、激しい手の震えと視力減退のため自書能力を欠いていた」と判断し、甲の申し立てを認めたため、今度は乙の側が上告しました。
最高裁判所は、「病気などで他人の添え手をうけて作成された自筆証書遺言は、①遺言者が自書能力すなわち文字を知りこれを筆記する能力を持ち、②他人の添え手が、始筆や字配りなど遺言者の手を用紙上の正しい位置に導くにとどまるか、または、遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされ、添え手は執筆を容易にするための支えを借りただけであり、③添え手をした者の意思介入のないことが筆跡上判断できる場合には、『自書』の要件を充たすものとして有効である。」と判示した上で、この件に関しては②の要件を満たしていないとして、乙の上告を退けています。
つまり、この件では②の要件を満たしていないから、乙の申し立ては認められないという判断をした訳ですが、 しかし、上記・最高裁判所の言う三つの要件を全てクリア出来ていさえすれば、添え手により作成された遺言書であっても有効になる場合があるということですから、遺言書の『自書』とは、必ずしも100%”自分ひとりで”書き上げなければならないという訳ではないということです。
とはいえ、実際問題、③の”添え手をした者の意思介入のないこと・・・”の判断・証明は非常に微妙な問題ですから、遺言書はやはり、添え手が必要になる前に作っておく方が安心なことは間違いありません。いざという時に困らないよう、早め早めの準備をしておく必要があるでしょう。
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